ノン・レス
私の前に1つ、
自分の前にもう1つのカップを置いて
アキラが向かいの椅子に座る。
「返事は待ってくれてるんでしょ?
それならとりあえず、
ゆっくり考えてみりゃいいじゃない。
山口君なら、家も近いしねー!」
「そうだね。
今は、一緒に飲んで、仕事の話したりとか、
けっこう楽しいしね!」
これは、本当。
山口君は、システム系の仕事をしていて
忙しいとホントに夜も遅いんだけど、
早く帰れる時は私を、食事に誘ってくれる。
理系の山口君の話は難しくて…
正直、仕事の内容も、何度聞いても分からないんだけど。
それでも、一緒にいるとすごく楽しくて、
生徒にへこまされてる私を
元気付けて、
笑わせてくれて…
アキラは、あの頃と同じように
優しい目をして
私の話を聞いてくれた。
そして、あの頃と同じように私を見守って
私の背中をそっと押してくれるんだ。