ノン・レス
「お疲れーっ」
ガチッ、と中ジョッキを合わせてから
乾いた喉を一気に潤す。
「仕事上がりの一杯って、オイシー」
プハーッ、とジョッキを置くと
こっちを見てる山口君と、目が合う。
「イズミー、親父くさいぞー。
セーラー服を着てる時は、こんな風になるとは思ってなかったのに…」
空いてる左腕で、
目の辺りをこすって
泣きまねなんてしちゃって。
「あれーっ、
こんな親父が好きだっていったのは
どこの誰でしたっけ!!」
負けずに言い返す。
私たちは
この関係が心地よくて
どちらから言い出す事も無く
しばらく友達関係を続けることにしていた。