ノン・レス



「お疲れーっ」

ガチッ、と中ジョッキを合わせてから

乾いた喉を一気に潤す。


「仕事上がりの一杯って、オイシー」

プハーッ、とジョッキを置くと

こっちを見てる山口君と、目が合う。


「イズミー、親父くさいぞー。

セーラー服を着てる時は、こんな風になるとは思ってなかったのに…」


空いてる左腕で、

目の辺りをこすって

泣きまねなんてしちゃって。



「あれーっ、

こんな親父が好きだっていったのは

どこの誰でしたっけ!!」


負けずに言い返す。

私たちは

この関係が心地よくて

どちらから言い出す事も無く

しばらく友達関係を続けることにしていた。


< 52 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop