ノン・レス
「送ってくれて、ありがとう。また飲みに行こうね」
そう言って、私のマンションの前まで送ってくれた山口君と別れた。
楽しくて、ちょっと飲みすぎたかな。
エレベーターの中が…クラクラ揺れる。
部屋の鍵を開けると
いつもの、自分の好きな香り。
ほっとして、カバンを置いて、お風呂を溜める。
アキラ、私、今度こそ言うよ。
今度は、好きになっちゃった・どうしよう、だなんて
情けない相談じゃなくて
上手くいった報告ができるといいな。
まあ、良く考えたら、
山口君のほうが、先に気持ちを伝えてくれたんだけどね。
山口君が、いつまでもはっきりしない私に愛想を尽かせてなければ
きっと私の告白は喜んで貰えるよ。
あなたには言えなかった想い
勇気もなくて
チャンスも逃して
あの頃の自分より
ちょっとは成長してるかな?
…そんなことを考えていた時だった。
ガガーッガガーッ
マナーモードのまま机の上に置いていた携帯が震えた。
「うわっ、ビックリしたあ」
一人でいると、
独り言がクセになるよ…