じゅうごさい
第一章
「とってー!ボール!」

空高く舞い上がったボールは綺麗な弧を描いていた。
「ナイスキャッチ!」
武夫が歯を見せてニコッと笑った。

「野球ばっかじゃなくて、勉強もしろよー!」

あたしの声がグラウンドに響く。

武夫は、坊主にしない。
何なんだ。
野球部で唯一の、
髪がサッラサラなやつ。
お色気男が。

中一の時、
一回武夫を泣かせた。
あたしがバリカンで武夫の髪を剃ろうとしたのだ。
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