鵯と桔梗 ‐戦国サイダー番外編‐
「あ、継虎様! 探したんですよ、こんなところに……」
「すず、少し静かに話せ。兄上の前だ」
そのとき丁度頬をほんのり赤く染めた少女が屋敷内から現れた。
息を切らして言う彼女を継虎は眉を寄せ窘めるものの、夢継が朗らかに笑う。
「よい、よい。すずは元気なのが良いだろう」
「わわ……夢継様申し訳ありません。今円座をお持ちしますね!」
しかし継虎の言葉は何処へか消え、すずは勢いよく頭を下げ、廊下を戻ろうと素早く反転する。
その様(さま)にまた笑う兄を横目に、継虎の眉間は更に寄った。
「ここではなく席を設けろ、酒と一緒にだ」
ため息交じりで口にした言葉に、すずの肩がびくりと揺れる。
そろり、と振り返った顔はまるで子どもを窘める母親のよう。
「朝から酒はないだろう、弟よ。すず、ここで良いよ、庭が綺麗だ。それにお茶に変えておくれ。あと私が持って来た菓子を」
すずの内心を汲んだのか、苦笑いを浮かべながら夢継は言う。
それに対し口を開きかけた継虎より先にすずは「かしこまりました!」と向きを変えてから一礼し、足早にその場から消えてゆく。
「すず、少し静かに話せ。兄上の前だ」
そのとき丁度頬をほんのり赤く染めた少女が屋敷内から現れた。
息を切らして言う彼女を継虎は眉を寄せ窘めるものの、夢継が朗らかに笑う。
「よい、よい。すずは元気なのが良いだろう」
「わわ……夢継様申し訳ありません。今円座をお持ちしますね!」
しかし継虎の言葉は何処へか消え、すずは勢いよく頭を下げ、廊下を戻ろうと素早く反転する。
その様(さま)にまた笑う兄を横目に、継虎の眉間は更に寄った。
「ここではなく席を設けろ、酒と一緒にだ」
ため息交じりで口にした言葉に、すずの肩がびくりと揺れる。
そろり、と振り返った顔はまるで子どもを窘める母親のよう。
「朝から酒はないだろう、弟よ。すず、ここで良いよ、庭が綺麗だ。それにお茶に変えておくれ。あと私が持って来た菓子を」
すずの内心を汲んだのか、苦笑いを浮かべながら夢継は言う。
それに対し口を開きかけた継虎より先にすずは「かしこまりました!」と向きを変えてから一礼し、足早にその場から消えてゆく。