ピンクグレープフルーツ
「ちょっと貸して。」
え?
いいよと言ってもないのに、山口の手が、ミシンにのびてくる。
「ちょっ!!」
山口は勝手に、押さえ版を上げて、布を取って投げようとしてきた。
「ちょっと、待ってよ!!」
頑張って、山口の腕をつかみ、布を取り返す。
「はぁ…。」
押さえ版をおろして、ミシンスタート。
「早く~!お前遅い!!」
さっき、山口、ミシン使ってたじゃん。
「待ってよ~」
ったく…。
と思いながら、ミシンのペダルを踏む。
「はい。いいよ。」
ミシンを終わらせ、山口と交代。
と思ったら…
「はい、今日は終わり~」
あぁ…
山口に文句言われるなぁ…
と思い、山口のほうを見た。