魔王と救世主の恋に
「好きです、ごめんなさい」



「いいかい?僕の世界は君の中にあるんだ」




桜の花びらがひらひら。
二人で桜の木の根元に座った。


「これだけは覚えておくといいよ」


彼が言ったこと。

だけど、
私の世界は彼の中にはない。









桜の花びらは、
こんなにも綺麗なのに彼は嫌いだという。


“どうして”って尋ねれば、
“全てが白く染まる気がするから”って欠伸まじりに返ってきた言葉。

だからこそ、
私は桜が好きなのにな。




「君はメシアで、僕は倒されるべき魔王。僕はそれなりに強いわけで、君のライバルで唯一の理解者であるけど、最後には倒されるんだ。勿論、君によって、ね」



桜の花びらが
風に吹かれて私の視界を覆って、花びらの隙間から見えた彼の冷たく澄んだ闇色の目が哀しい。



「どうして?」


胸が締め付けられるように苦しくて私は尋ねた。



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