砂のお城
初めは記念受験のつもりでいた。

もし受かっても、実家からは通えないし、何より受かるとも思っていなかったから。

入部テストに誘われただけでも光栄だと、俺は入部テストを受けに行ったのだ。

入部テストには俺と同じように監督に誘われた親友の拓也と一緒に行った。

「すっげー広いグラウンドだな」
「おい、あっちは芝じゃねぇ？サッカー部専用かよ」

城南高校はさすが有名なだけあって、設備も整った学校だった。

まさかサッカー部専用グラウンドがあるとは思ってなかったから、驚いた。

そして、受けた入部テストにはなんと拓也とふたり一緒に合格した。

夢見心地で帰路につこうとしていた俺のもとに聞こえてきたピアノの旋律。

「きらきら星…？」

モーツアルトのきらきら星変奏曲。

昔、優花が俺に一番好きだと教えてくれた曲だった。

そして、俺が優花と別れる前に一番最後に聞いた曲。

それは、音楽室から聞こえてきた。
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