砂のお城
後でわかったことだが、両親は俺が城南に行こうが行かまいがどちらでもよかったようで、俺に本腰を入れて受験勉強をさせたかっただけらしい。

受験を間近に控えた俺のあまりの勉強の出来なさに焦っていたらしく、勉強さえしてくれればそれでよかったのだ。

もし合格したら儲けもん。

あの親だからそれくらいにしか考えていなかったようだ。

そして、その策にまんまと嵌まった俺は必死で勉強して、部活を引退してからは毎日、塾に通いつめた。

それでも、身体がなまってしまったら意味がないので毎朝のトレーニングも怠らず。

ただ、もう一度優花のそばに行くためだけに頑張り続けた。

そしてなんと、努力のかいあってか、城南高校の学力試験を突破したのだ。

しかし、周りからするとそれはかなり想定外の出来事だったようで、

合格したのに教師だけでなく、親にまで奇跡だと言われる始末。

受験を終えた息子に何か言うことはないのか?
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