砂のお城
そんなわけで俺はこの春から晴れて城南高校に通うことになったのだ。

そして今日は、俺があっちに行く日。

優花の家に居候させてもらえるという言葉で、受験勉強を死ぬほど頑張ったにも関わらず、俺は寮生活を送ることが決まった。

理由は、ふたつ。

ひとつは、優花の父親である匠さんが年頃の男女をひとつ屋根の下に住まわすことに断固反対したこと。

これは、優花の母親である雨さんが匠さんの了解をとらずにうちの母親に居候話を持ちかけてしまったのがいけなかった。

すっかり失念していたのだ。

匠さんが優花を溺愛しているということを。

そういえば、昔から俺は目の敵にされていた。

途方に暮れていたところに届いた知らせが、サッカー部員は強制的に入寮しろという通知。

サッカー部に入部することが決まっていた俺なのでもちろん、入寮は決定事項だったのだ。

そんなこと、すっかり忘れていたのだから、俺は余程うかれていたらしい。

結局、俺は優花に会うことが叶わないまま入寮することになった。
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