蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
白井は今三十二歳、二十年の間にここまでこの異能を伸ばしてきた。


使い方次第ではもっと違う仕事もあったかもしれない。


だが占い師を始めて早十年、白井は兎に角沢山の人間の未来を見続けている。




そんなある日。


いつもと同じように営業をし、最後の客を見ている時だ。


その客は五十代前半の女性である。


だがどこか不気味なオーラを放ち、終止白井の顔をじろじろ見ている。


何となく落ち着かないが白井は女性の未来を見る。



「ゴホッゴホッ……三週間後、デパートに設置されている宝くじ売り場で宝くじを買って下さい。」



そう言うと女性はニヤリと笑みを浮かべ白井を見る。



「正解だよ。」


「はい?…ケホッ」
< 104 / 165 >

この作品をシェア

pagetop