蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
少しすると痛みは引いた。



「ゲホ…何だったんだ、今の…」



冷や汗を拭うと目を再び瞑り予知の続きをする。


だが、雷光の後の視界が真っ暗である。


どんなに先に進んでも黒。


かといって雷光まで戻ると再び頭痛が襲ってきてビジョンが途切れ、そのまま黒の世界に誘われる。


これを三回繰り返して漸く白井は気付いた。



――自分は落雷に遭い命を落とす――



「マジかよ…。」



信じがたいが落雷より先のビジョンが黒ならば考えられるのはそれしかない。


それに今までに自分の予知が外れた事がない。


つまりこの未来だけは「違います」という訳にはいかないのだ。


白井はため息をつき肩を落とす。



「落雷で死ぬなんて本当についてないな…ケホッ…しかも自宅………ん?自宅?」
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