蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
片付けを済ますと白井は家とは反対の方向へ歩き出す。


目的地は駅近くのマンガ喫茶。


白井は我ながらいい考えだと思った。


駅に避雷針があるので気休めでも多少は安心出来る。



「そういえば、大切なモノ無くすとも言われたけど、ゲホゲホ…結局何も無くさなかったよな…。ケホッ!」



ぼそりと呟く。


すると頭に何か冷たいものが落ちてきた。


空を見上げると雨が降り始めたようだった。



「ゴホッ!やっべ。急がないと。風邪も悪化したら嫌だ―ゲホ!」



白井は鞄の中から折りたたみ傘を取り出す。


開こうとした瞬間その手が止まった。



「待てよ…傘はマズイよな。」



白井は傘を再び鞄に戻すとその鞄を頭に乗せ雨避けにした。


そのまま大急ぎで走り出す。
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