蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
「一ヶ月だけ?」
今の自分自身と同じ状況にカタリーナは一瞬体を強ばらせる。
「そうだ。一ヶ月間一緒に過ごしてその間に俺の望みを叶えることが出来るかどうかを見定めている。」
まさかこの一ヶ月の間にそんなことを調べていただなんて考えても見なかったのでカタリーナは驚きを隠せない。
「……なら私はどうだったの?」
恐いながらも核心を尋ねる。
「お前には…無理だ。」
一番訊きたくない答えを言われカタリーナは愕然とした。
なぜか最後の言葉だけがやたらに強く頭に響く。
肩を落とすカタリーナを時嗣は相変わらずの無表情で見つめる。