蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
しかしいつまでたってもビジョンが見えない。



(あれっ?おっかしいな…)



もう一度目を瞑る。


だがビジョンは真っ黒のまま。


何というか未来を見ているというよりただ目を瞑っているに近い。



「もしかして…」



険しい表情で考えているとちょうど病室に医者が入ってきた。



「白井さん、どうです?具合のほうは。」



ニコニコしながら近寄り、そのまま白井のサイドにつく。


すると透かさず白井は医者の手をとった。



「ちょっと失礼!ケホッ」



そのまま目を瞑り未来予知に入る。


いきなり手を握られまるで拝むかのように目を瞑る白井に医者は動揺した。



「あっあの…白井さん?」


「やっぱり…」


「はい?」



目を開けると白井は手を離す。
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