蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
私の座った一人掛けのソファーの隣に、同じように一人掛けのソファーにあの金髪の青年が座っている。


それを横目に見ると私の前に座った銀髪の青年に視線を移す。


銀髪の青年は手にした分厚い本を私達の間にある机に置きページを捲った。



「えーと有賀百合、齢二十一……死因は転倒による脳挫傷ですか。」


「えっ?」



私は耳を疑った。



「あのっ、今死因って…」


「あっ、もしかして間違ってましたか?時々記入ミスがあるん──」


「そうじゃなくて!」



私は銀髪の青年の声を遮った。


青年は不思議そうに私を見ている。



「その…私、死んだんですか?」



不安そうに訊ねたのに案外あっさりはいと言われた。



「ええ!?何で!?いつ?私知らない!!」



机をバンっと叩き身を乗り出す。
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