蝙蝠伯爵-ｺｳﾓﾘﾊｸｼｬｸ-

一瞬にしてカタリーナの顔が強張る。



その間に完全に抜き出された刀は時嗣の手により切っ先を微動だにしないカタリーナの首の真横に添える。



「な…にを…」



「俺にとって障害となるものはすべて消す。」



カタリーナは完全に動けなかった。


頭では危険信号が先ほどから鳴り止まないのに体が動かない。


そうこうしているうちに時嗣は刀を振り上げる。


カタリーナはゴクリと生唾を呑むと時嗣と目を合わせる。


その瞳はとても冷たく光など宿してはいなかった。


カタリーナは体を動かす代わりに震える唇で言葉を紡ぐ。


本当の気持ちを。



「Ich liebe Sie…（あなたを愛している）」



そして刃は振り下ろされる。