蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-


カランカラン



「いらっしゃ…なんだあんたか。」



決まり文句を言いかけるが相手が知り合いだと分かると言葉を止めた。


あの骨董屋に戻ってきたのは紛れもなく時嗣である。



「またここに暫く置いてくれ。」



骨董屋の店主はため息をついた。



「お前さん、もう日本に戻るのは無理だよ。いい加減ここで落ち着いたらどうだ。」


「いや、別に日本には戻れなくてもいい。」


「じゃあ何で?」



骨董屋の店主は意味が分からなく眉を顰めていると時嗣は少し口の端を上げた。



「最初は日本に帰るつもりでいたから俺をつなぎ止めようとする奴は邪魔という意味で斬った。」



そこまで言うと今度は骨董屋の店主に怪しい笑みを向けてきた。
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