蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
以前、何度か死を告知されている人を助けようとした事がある。


死ぬ事が事前に分かっていながら助けられない自分にもどかしさを感じたから。


俺は死に神が憑いた人を尾行した。


いつどのように最期を迎えるが分からないから。


だがその努力は呆気なく水の泡と化す。


俺が助ける前に皆死んでしまう。


男は死んだ人の魂を回収すると不敵な笑みを浮かべ俺を見る。


その瞬間俺は自分の無力を知った。


どんなに頑張ったところで自然の摂理には逆らえない。


だから俺はもうあの金髪の男が見えても構わない事にした。


助けようとすればするほど助けれなかった時の焦燥感が大きいから。


しかし目を逸らす事が出来ない事態が起こってしまった。
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