蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-


「………うん……はっ!」


いつの間にか寝てしまった俺は眩しい朝日で目を覚ます。


慌てて哲志の家を見た。


奴はまだ屋根の上にいる。


どうやら哲志は無事のようだ。


時計を見るとまだ六時すぎだった。


俺は昨日買っておいたパンを食べながら哲志が家を出るのを待つ。




およそニ時間後、哲志は学校に向かうため家を出た。


いつもなら制服の方が楽なのにと思っているが今回ばかりは私服である大学に感謝する。


とくに学生証を見せる場面もなくすんなり大学内でも尾行出来た。


授業は一番後ろの席に座り監視。


昼食は学食だったので部屋の隅からちら見。


哲志の行動は見失わない程度の距離を取り追尾。


明らかに一種のストーカーまがい的な行動にすごく負い目を感じる。
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