蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
哲志の前に金髪が現れてから五日目の朝。


俺はこの五日間ほとんど寝ずに哲志の追跡及び金髪の監視を続けた。


おかげで目の下には元々あったくまに加え新たなくまが出来たためかなり黒い。


幸いにも財布には金もあったし、銀行のカードも入っていたから飲み食いには困らなかった。


しかし既に俺の体は限界を迎えようとしている。


だがここで気を緩めればこの五日間が無駄になってしまう。


おまけに金髪が現れてから四、五日の間が一番危ない。


俺は自らの体に鞭を打ちもうひと踏ん張りする。


金髪を見ると奴はかなり生き生きとしている。


あいつは俺のやつれた顔を見て楽しんでいるようだった。
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