蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
「ありがとうございましたー。」
コンビニでお茶とおにぎりとパン、それから栄養ドリンク剤を購入すると急いで哲志の家へ向かう。
哲志の家までは歩いて十分。
つまり往復すると二十分くらいだ。
その二十分でさえ今は惜しい。
俺の足は自然と早くなる。
すると突然視界にあるものが飛び込んだ。
「っ…お前!」
なんとあの金髪が俺の目の前に姿を現したのだ。
奴はターゲットが死ぬまで絶対そいつの側を離れない。
しかしここからだとまだ少し哲志の家まで距離がある。
ということは、考えられるのはただ一つ。
―哲志の魂を奪われた…―
金髪を見ると今までに見たことのない不気味な笑を浮かべていた。
「お前っ!」
俺は金髪を捕まえようと奴の方に走り出した。