蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
階段を上る音が聞こえ始めてから二週間後。



キィィィ

ガシャン

トントントン



門柱が勢いよく閉まると同時にまた階段を上る音が聞こえくる。



「またか…まったく誰よ毎晩毎晩、人が寝ようとしてる時に…」



可南子は気を改め再び寝に入ろうとした。


ところが今日はこれだけではすまなかった。



キィィィ
キィィィ
キィィィ
キィィィ

ガシャン



今度は門柱が何度か開閉されたような音がした後に勢いよく閉まる音が響く。


可南子の部屋は階段の横というだけでなく、門柱のすぐ斜め上あたりでもあるのでいやでも音が響いてくるのだ。



「もー煩いなぁ!今度は一階の奴か!」



物音に敏感な可南子はイライラを感じずにはいられなかった。
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