蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
人形に圧倒されながらも答える。


近づいてきた人形は思いのほか背が高い。


およそ百七十センチといったところだろうか。


あまり背の高くないカタリーナは人形を見上げる。


人形は無表情のままただふーんと言った。



「俺は紫藤時嗣(しどうときつぐ)。言っておくが俺は男だ。」


「えっ男!?」



カタリーナが驚くのも無理はない。


時嗣はその辺の美人なんかとは比のつけようがないほど本当に美しかったから。


男にしておくのが勿体無いほどの美男子だった。


カタリーナは時嗣にいろいろ訊いてみることにした。



「シドウはどうやってここにきたの?」



質問すると時嗣は相変わらず無表情のまま答える。



「百年くらい前にオランダ船に乗ってヨーロッパに渡った。そのあとの経緯は教える必要はない。」


「そっか…百年も前に…だからドイツ語話せるのね。」


「…まぁな。いろんな所にいたからいろいろ話せる。」
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