蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
知っての通りここは潰れた病院。


当然水道は止められているはず。


ということはこの音は人事的に作り出されているという事になる。



「村上さん?」



ピチャ

ピチャ

ピチャ



音は徐々に古橋の方へ近づいてきている。


古橋は音がする方に少しづつ進んでいく。


まだ見えぬ音の正体を探るべく懐中電灯を照らしながら。



「村上さん?…村上さんですよね?てか、村上さんじゃなきゃいやですよ?お願いですから返事して下さい〜!」



だが応答はない。


すると突然懐中電灯の調子が悪くなり光りが消えてしまった。



「あっ…うそだろ?電池切れか?」



その場で立ち止まってしまった。


気付くと水音はすぐ近くまで来ている。



ピチャ

ピチャ

ピチャ



「………村上…さん?」



質問した後に生唾を飲む。


それと同時にヒュオオと勢いよく風を斬る音がした。
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