蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-


「えっ…塚…原?」



そこには手術台に横たわり血まみれになっている塚原がいた。


胴体はめった刺しで所々メスが突き刺さっている。


更に手術台から垂れた右腕を血が伝いピチャと音を立てて血だまりを作っている。



「塚原!」



急いで駆け寄り脈を確認するが当然動いていない。


加賀美は見開かれたままの塚原の眼をそっと閉じてやった。


その時物凄い力で眼を閉じた手首を掴まれる。



「えっ?」



次の瞬間寝ていた塚原が物凄い勢いで上体を起こした。



「加賀美ィ……」


「やっ…!」



塚原はギリギリまで眼を見開き加賀美を覗き込んでくる。


更に掴んだ手首を力強く握り引っ張る。



「痛いンだ…助けてクレ…」


「止めっ離して!!」



掴む手を振り払おうとするが全くかなわない。
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