蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
一気に下るがさすがに八階からだと徐々にスピードが落ちる。


ちょうど四階まで下ってきた時だった。



「加賀美」



四階の廊下方面から名前を呼ばれた。


その声は紛れもなく村上のもの。



「村上!?」



三階へ下る階段を踏み出していた加賀美は後ろを振り返った。



「よかった!無事だった…の…ね……?」



振り向いたその先にいたのは半分潰れかけた頭から血を流している村上だった。



「加賀美……痛い…」


「やっ…いや!!」



近寄ってこようとした村上を加賀美は首を振って拒否し再び滑るように階段を下りだした。



「塚原もっ村上も…なんでっ!?」
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