蝙蝠伯爵-ｺｳﾓﾘﾊｸｼｬｸ-

誰かの手が加賀美の足首を掴んでいる。


そう、加賀美は躓いたのではなく実は足首を掴まれたために転んでしまったのだ。



「っの…離して！！」



加賀美は尻餅をついたまま掴む手を空いている足でげしげし踏みつける。


すると足首を掴んでいる人物が顔を起こした。



「加賀美サン…イタイデスヨ……」


「あっ…あっ…！」



なんとそれは古橋であった。


古橋もまたメスを数本刺さったままの状態である。


すると後ろから追ってきていた塚原と村上が追いついてしまった。



「加賀美ィ…にげ…な…いで…よ…」


「加賀美……はヤく…ラクに…ナロウぜ…？」


「加賀美サン…一緒ニ逝キマショウヨ…？」



三人は口々にいろいろ話してくる。


加賀美はただただ涙を流してイヤイヤと首を振り拒絶を示す。