甘めな恋愛ショート集
「ミカ姉昨日貸したCDどうだったあ?」
私のドキドキお構いなしに、ニコリと笑って彼は聞いた。
「あ、うん。あれ好き、レイラ」
彼はバンドを組んでいて、
アメリカの有名なバンドなど
あまり普通の中学生らしくない趣味をしてる。
「あれ良いよね、クラプトンの声がねーっ」
そこもまた、良いところ。
彼と話を合わせたくて、よく私はCDを借りる。
ケイくんはこの曲聴いて何考えてるのかな、そればっかり。
「あれ貸したい人がいるから今日返してもらって良いかなあ」
「そうなの?良いよ」
「あ、じゃあミカ姉の家行っていい?」
来たら襲っちゃう。
ほんとそれくらい可愛い。
「良いよ」
「え、良いのー?」
ケイくんが言って、立ち止まる。
「良いって今更エンリョしない──」
「僕もオトコなんだけど?」
そう言うとケイくんは、
はしっ、と私の手を掴んで
見たことない表情で言った。