6cm
このチャットを知ったのは、
確か…5年くらい前。


教えてくれたのがその頃の彼氏とか、
笑っちゃうよね…。
変態だったのかな、あいつ。
普通、彼女にチャットやらせないでしょ。

…結局、彼氏がチャットの女と浮気して、
あたしはリアルの知り合いと浮気して、
円満?に別れたんだけどさ。



しかし、あたしもよくやってたと思うよ。

幸い危ない目には合わなかったし、
ハズレも引かなかったから良かったけどさ。

一歩間違ったら、
犯られるか殺られるかしてたかも知れないんだし。


そう思ってから会うのは辞めたけど、
寂しさには勝てなくて…今に至る。


たまに暇になったり寂しくなったり、
そーゆう時はここに来て、
一人の人間を演じて、
ひたすら、愛のある会話をする、…振りをする。

男ってほんと馬鹿。
すーぐ騙されて本気になる。


だからあたしは連絡先を交換しない。

『またここで話そうね♪』

なんて可愛い事を言って、
そいつとは二度と話さない。

必要なのは、一瞬だけだから。



だけど本当に馬鹿なのは自分だって。
解ってる。

こんな事する方が虚しいだけ。
下らないのに。


本当に下らないのは…。

実は、あたしの方かも知れないな…。




そんな事をぐちゃぐちゃ考えながら、
あたしはようやく見つけた『空室』の扉を開く。


今からあたしの名前は

"真愛(まな)"




カチカチとまた携帯のボタンを打つ。


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同年代希望♪普通に話そ。
気が合えばリアルで遊びたいな。
H目的はNG!!
***********************


こんなやつ、いるとは思えないけど。




自嘲しながら、
あたしは『入室』ボタンを押した。
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