6cm
あたし達はその後も、
空が白んでも尚、
携帯のボタンを打ち続けた。


バーチャルの部屋ではなくて、
お互いの部屋の中で、
お互いの携帯の間を行き来する文字。

それはチャットルームに居る時よりもどこか現実味があって、
ほんの少しだけ、
サトシが近くに居るような、
そんな錯覚さえ覚えた。



気付けばあたしは携帯を握り締めたまま、
深い眠りに落ちていた。





『会いたいな…』


彼からのメールには、
そう、一言だけ、打ち込まれていた。
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