初雪が、温もりでとけたとき
ずっと握っててくれる由季ちゃんの手で、雪乃の手が、温められてる気がした。
ジンワリと、雪がとけるみたいに。
「ほら、温かくなってきた。」
「あ、ホントだ。」
教室に入る頃には手が温かくなってた。
雪乃と由季ちゃんは、鞄を下ろす。
ズルして、ずっと隣同士の席。
それが分かってるから、クラスのみんなが『恵比寿くん、8番なんだって!これ、13番だから、変えよっ!』とか言ってくれる。
先生も『またお前らは~。』と呆れたように言うけど、笑うんだ。