初雪が、温もりでとけたとき



「雪乃、なにか言いたいこと?」



ファミレスを出て、近くの公園に入ったとき、颯君は雪乃に言った。


2人の間にある妙な距離。
妙な沈黙。



「……颯君、今までどうもありがとう。」


「どーいう意味かや?」



颯君の声はピクリとも驚いてなくて“分かってた”そんな感じだった。



「雪乃…颯君のこと、本気で好きだったと思う。
……でもね、もっともっと、好きな人がいるの。
傷つけて、ごめんなさい。」



白くなった息が“告げた”のだという証拠。



「俺は、いいよ?雪乃を好きになって楽しかったし、遠距離だったけど、付き合ってもっと楽しかったが。
…………由季、また好きになってくれるといいな。」


「……うん。」



涙目になりながらうなずくと、グイッと颯君は雪乃を抱き寄せた。



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