初雪が、温もりでとけたとき
初雪の温もり
久々に“それでこれはタメになる?”を読んでいた。
千佳ちゃんの新連載が載ると、春流が嬉しがってた。
━あたしと彼━
届きもしないその人に、恋をしたのは入学式。
黒髪を少し揺らして、すれ違ったその人と、少し目があった気がした。
こんな言葉から始まる小説は、本当に切なかった。
いつもは冷静な千佳ちゃんが書いているかと思うと少し驚く。
でもやっぱり、小説はスゴいと、改めて思った。
「茂野君!」
「おー雪乃ちゃん!」
「これ、よかったら茂野君に。…あと、これ…由季ちゃんに渡してくれるかな?」
うつむきながら言うと、茂野君はプハッと笑い、髪をワシャワシャと撫でた。