初雪が、温もりでとけたとき



雪乃の手に、1つの包みが渡された。



「ごめんなさい。中身を見てしまったのだけど…。
雪乃ちゃんにだと思うの。」


「…………。」


「由季の最後のときを見てくれなくてもいいの…。でも、これをもらってあげて?…そして、ときどき顔をお母さんたちに見せてちょうだい…。」



雪乃の手に、お母さんの涙が落ちた。
それは止まることなく、ポタポタと、速度をあげて。



「お母…さん。」


「雪乃ちゃん…。お父さん…。」


「雪乃ちゃん、由季を好きになってくれて、ありがとう。」



笑った顔が、由季ちゃんそっくりのお父さん。


ポロポロと泣く姿は、まるで由季ちゃんが泣いてるみたいだった。



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