初雪が、温もりでとけたとき
雪乃が息を切らせながら言うと、櫻女子の方は、残念そうな顔をした。
「そう…ですか。」
「伝言なら、引き受けますよ?」
マナーモードにしてポケットにいれてた携帯を取り出しながら言うと、パアァと表情が明るくなった。
「えっと…森山…森山春です。あの場所で待ってる……、て恵比寿由季くんに伝えて下さい。」
「え…?」
「それじゃ、したっけ。」
ペコリと頭を下げ、“森山春”はその場を去った。
ただ、雪乃だけその場に立ち尽くす。