初雪が、温もりでとけたとき



決めた。
帰り道、言う。
絶対、言う。
『伝言引き受けますよ。』て言ったのは雪乃なんだから。



心が重いせいか、時計の針が動くのが遅く感じる。
でも、針が動くたび、1秒が経つたび、携帯を握る手が、強くなる。



[森山春 あの場所で待ってる。恵比寿由季くんに。]



携帯に表示される文字。
目で追えば追うほど、泣きたくなる。
泣いちゃダメ…。
泣いちゃダメなんだ……。


そう我慢してるうちに、由季ちゃんの足音が、近づいてきた。
バタバタ走る、由季ちゃんの足音。



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