初雪が、温もりでとけたとき
走り出しながら言う由季ちゃん。
雪乃は、そんな由季ちゃんの後ろ姿を見送って、うつむいた。
「あ~涙とまれっ!……………………よし。」
空に向かってニコッと笑い、雪乃は帰路をまた歩き出す。
由季ちゃんが駆けていった方とは、まったく違う、逆方向。
由季ちゃん…由季ちゃん。
――その日の夜、いつもなら届く[おやすみ。]のメールが、由季ちゃんからなかった。
雪乃が[おやすみ。]てメールしても、返信はなかったんだ。