初雪が、温もりでとけたとき
ユキの温もり



由季ちゃんが『好き』って言ってくれる髪は、いつも念入りにブローをかける。


由季ちゃんが『美味しかった。』て言ってくれたから、差し入れをする。


由季ちゃんが『ごめん。』て言うなら『練習見に行くよ。』て言う。


だって、好きだから。





「おつかれっ。朝練終わった?」


「うんっ。着替えてくる。」



そう言って、また体育館の中にある部室に戻ってく由季ちゃんの後ろ姿を見ながら、雪乃は鞄を開く。
教科書たちに押しつぶされないようにしてあるクッキーの袋を手に取った。



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