初雪が、温もりでとけたとき



涙声になりながら言って、由季ちゃんを見ると、由季ちゃんは首をゆっくりと横に振った。



「なんで泣く…?泣きたいのはこっちだが!雪乃、なんで詮索かね!?」


「詮索してるわけじゃ…。」


「詮索だが!雪乃はそうやって泣く!だから言えんのだが!!」


「――………。」



由季ちゃんは、すぐ泣く雪乃が悪いって言うんだね?
雪乃が、悪いのは分かってる。気づかない振りをするのも必要なんだと思う……。



「……ごめん…ね…。」



下唇を噛みしめ、雪乃は走ってきた道を、また走った。
滑りそうで、怖くて。



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