初雪が、温もりでとけたとき



たしかに、猫の名前をワンワンにするのは、天然だ。



「さてさて、そろそろあたしはお邪魔するわ。
………ねぇ、雪乃?恵比寿君、雪乃が休み始めて、ボケーッとしているの。五反田先輩から怒られてばかりだし。」


「え…?」



千佳ちゃんはドアを開き、ニッコリ微笑み雪乃を見た。



「部活終わると、毎日教室までくるの。雪乃、いないのにね?」


「―――っ…。」


「じゃあね。」



ただただ布団を握りしめていると、バタンと静かに玄関のドアが閉まる音がした。



『部活終わると、毎日教室までくるの。』


『雪乃、いないのにね?』



由季ちゃん…!



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