初雪が、温もりでとけたとき



いてもたってもいられなくなって、雪乃は携帯で時間を確認した。
19時を表示していた携帯をパチンと閉じ、階段を駆け下りる。



「お母さん!学校行ってくる!」


「雪乃!?」


「ごめんなさい!いってきまぁす。」



玄関に出ていた靴を履き、雪乃はただ走った。
由季ちゃんが部活終わるまであと30分もない。
急がないと、急がないと…。



「はぁ…はぁ…。」



千佳ちゃん、走るの、難しい。
滑りそうになるし、息は上がるし…。


息を整えながら、雪乃は教室のドアを開ける。
真っ暗な教室を明るくするため、電気をつけた。


自分の席に座り、時計を見る。
いつもどおりなら、由季ちゃんが、そろそろ来る。
バタバタと、足音を立てて。



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