初雪が、温もりでとけたとき



ガラガラッ――



ドアの開く音に、思わずギュッと目を閉じる。
トクン、トクン…心臓の音が、高鳴る。



「雪乃…?どーして、いるの?」


「由季ちゃんに…会いたくて。」



あーあ…雪乃って最低な女。
自分から逃げ出しておきながら、『会いたくて。』なんて。



「頬も、鼻も…真っ赤。マフラーどころか、コートも着てこなかったの…??」


「あ…忘れてた。」



由季ちゃんに言われ、雪乃は自分がコートもマフラーもしていないことに気づいた。



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