初雪が、温もりでとけたとき



「っしあす!」



始まった試合。
雪乃たちは、ワッフルを食べながら見ていた。


キュッ ダム


久々に聞く音。
懐かしかった。



「……由季、下手になったな。」


「――…!!」



ボソリとつぶやいた五反田先輩。
五反田先輩を見ると、ニコッと笑った。


『下手になったな。』
それは、雪乃が見ていても分かる。
あの頃の由季ちゃんが、いないから――…。



「春流ちゃん、あんまり期待しすぎもダメだけど…実艶、部長になれるかもね。」


「えっ。」


「ユイもそう思った!実艶君、上手になってる!」



元部長と、元マネージャーに言われ、春流は自分のことじゃないのに、嬉しそうだった。


頬を赤らめて、ワッフルを口にしてた。



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