初雪が、温もりでとけたとき



途中でファミレスに入ると、千佳ちゃんはケーキを注文した。



「浮かない顔ね。」


「そんな顔してる?」


「えぇ。」



カランッと音を立て、氷が崩れた。
千佳ちゃんは雪乃を見ながら、ストローをくわえた。


なんだか分からないけど…モヤモヤする。



「その顔は、恵比寿君関連ね。」


「え……?」


「前から雪乃見てたからなんとなくだけれど…あなた、恵比寿君のことになると、そういう顔するの。」



やっぱり千佳ちゃんはすごいと思う。
だって、アタリだと自分でも思うから。


由季ちゃんがシュート外したり、ファールしちゃったり、リバウンド取り損ねたりして…
なんだか…なんだか…



「愛おしいと、思ったんじゃない?」


「………。」



付き合ってた頃見せてくれていた笑顔を、見せてほしいと思ったの。


シュートをきめたときのキラキラした笑顔を。


見たかったの。



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