初雪が、温もりでとけたとき
その日の夜、颯君から電話があった。
“そっちに行くの、10月終わりになるかも。”て。
「はい。もしもし。」
『あ、雪乃ちゃん?俺ー。』
「五反田先輩!」
春流の手伝いをしていて、教材室に向かっていると、携帯が小刻みに震えた。
楽しそうな五反田先輩の声。
なにかあったのかな?
『今日、バスケ部の部長発表でしょ?誰がなると思う?』
「…茂野君…じゃないんですか?」
『うーん、かもねぇ。
雪乃ちゃんは、誰になってもらいたいの?』
「それは………。」
『雪乃ちゃん、迷ってるし!
よかったら、体育館春流ちゃんと見に行ったら?バスケば1対1をして部長決めるから。』
電話越しにクスクスと笑う、五反田先輩の声。