初雪が、温もりでとけたとき



雪乃は静かに返事だけして、教材室に足を向ける。


ホコリっぽい教材室から頼まれた物をとり、教室に戻る。


教材室から教室に戻るまで、2年生全クラスをとおる。
もちろん、由季ちゃんのクラスも。



「春流、持ってきたよ~。」


「ね、ねぇ、雪乃。」


「ん?」


「私…体育館行ってきてもいいかな…?」



申し訳なさそうに言う春流。
そんな春流がなんだか可愛く見えて、雪乃は肩をポンッと叩いた。



「いってらっしゃい。
雪乃がしとくから、だいじょうぶだよ。」



『雪乃ちゃんは誰になってもらいたいの?』



じゃあ…五反田先輩。
五反田先輩は、誰になってほしいですか?


1年のときから可愛がってた由季ちゃんですか?
上手くなった茂野君ですか?



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