キミの日記『Cherry's Diary』
 
 
手の甲に少しよだれがついている。

はっとしてごしごしとヨダレを拭いた。
 
 
 
「…見てない?」
 
 
 
 
「そりゃ無理。」
 
 
 
「ぎゃ~、最低ッ!!」
 
 
 
 
ヨダレついた手でふざけたパンチ。 
 
 
 
「痛ッ!」
 
 
 
私の意図によらずその拳は

彼の頬を貫いた。
 
 
 
「あ、ゴメン。本気じゃなかったんだけど」
 
 
 
「お前…」
 
 
 
すっと手を差し伸べ

彼の頬に触れたその瞬間、

二人目が合い、私達の動きが止まった。
 
 
 
じっと見つめる桃乃木の瞳。
 
 
 
静けさの漂う空気の中で

古いコタツの機会音だけが響いている。
 
 
 
…キス…って言葉が脳裏をよぎる。


やさしい目。

ずっと、ずっと奥まで見つめる瞳。

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