キミの日記『Cherry's Diary』

 
とりあえず、

お父さんの制裁は後にして

家の外に待っていた

その人にお母さんが対応した。


訪問者は桃乃木だった。


「ゴメンね、純君!バタバタしてて。」


私の部屋の前から玄関までは

音をさえぎる様な壁は無く

母と父の2人の会話は

桃乃木にも聞こえていたみたい。


「いえ、なんか楽しそうでいいですね。」


苦笑いで

お母さんを見る桃乃木。


部屋で寝込んでいる私はというと、

桃乃木が

ボソボソと話していたためか

桃乃木と母の2人の会話は

聞こえなかった。

とにかく

昨日、電話越しに言っていた

りんごを持ってきてくれたみたい。

後でリンゴが運ばれてきたため、

それだけはわかった。


「この前は、竹の子ありがとうございました。」


「あら、桃乃木君礼儀正しいわねぇ。

ウチの美里にも見習わせたいわ。

美里のお見舞い?今、風邪引いちゃって寝てるのよ。」


「えっと、お見舞いと、お土産を持ってきたんです。

もらいもんなんですけど、

これ良かったらどうぞ。

僕一人では食べきれないもんで。」


そう言うと、手に持っていた

たくさんのりんごをお母さんに渡した。



「いつもありがとね純君。上がって行く?」



「いえ、美里には

早く治ってもらいたいんで

ここで失礼します。

後で、メール送っておきますんで。」




「ところで桃乃木君。お母さん・・・」



「えぇ、まぁ…」



桃乃木と、

お母さんが何か玄関口で会話しているのが聞こえたけど、

2人は外に出て会話を始めていたみたいで

小さく聞こえる声からは母と桃乃木の話は聞き取れず、

何か世間話でもしてるんだろうなって思った。



「楓さんによろしくね。りんごありがとね。」



「ありがとうございます。

美里に、お大事にと言っておいてください。

失礼します。」



桃乃木はお母さんに挨拶すると去っていった。
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