キミの日記『Cherry's Diary』
楓さん
楓さんに会いに行った。
入院先はお母さんが知ってた。
なんで黙っていたの?
とお母さんに問いただすと、
桃乃木君に黙っててって言われてたんだって。
それに、アンタが行ったら迷惑なんじゃない
とも言っていた。
本当に子ども扱いするんだから。
楓さんの入院先は
偶然にも
みつばちゃんの彼氏と同じ総合病院。
お母さんが言うには、
桃乃木のヤツよくお見舞いに行ってるらしい。
そんな事情を知ったんだから、
前と変わらずバカな顔して桃乃木と
接せるわけないじゃない。
とりあえず、今日
みつばちゃんと秋口さんのお見舞いに行き、
ついでに顔出してこようと思う。
前に楓さんが好きだって言ってた
粒入りキャラメルも買った。
きちんとした服にも着替えた。
準備は万端だ。
お見舞いに行くときは、
病院にいる秋口さんに用事のある
みつばちゃんと一緒に向かった。
私が無理にお願いをして
私とみつばちゃんは
最初に、楓さんのいる病室に向かった。
初めて訪れる病棟。
楓さんのいる部屋は退院率がすごく高い一角にあった。
退院率ってのは何も病気が完治して出るだけじゃない。
治っていなくても出るってことから退院率が高いのだ。
「みさとちゃん。この階ってさ・・・」
そう、病院を退院する方法はいくつかあるってこと。
その階の患者は明るく振舞ってはいたが
異様な空気があるように感じてなかなかった。
まだ、
楓さんの顔を見る前から
元気になってと願いを込めながら、
病室の扉を開けた。
相部屋。
向かいには『谷内さん』って人が寝てた。
「あら、美里ちゃん!久しぶり!」
少しやせた楓さんがそこにいた。